Diary

一緒に連れてく

2011/09/28(Wed) 12:40
残されていったものを、回収。
来たついでなのか。



「一緒に連れてく」




ごうごうと鳴る横殴りの風と雨。
少し開けて見た雨戸の外の光景に、よほどの事が無ければ今日は朝から休校だと思っていたけれど、いちおう念のため天気予報を確認しようとテレビを点けた。
チャンネルを変えるまでもなく、枠どられて流れる台風情報。
「あ、出てる出てる」
警報の情報を確認して、リモコンをクッションに投げ、そのまま伸びをして、ソファに後ろ向きに倒れこんだ。
顔をクッションに埋めて、もぞもぞと動きながら裸足の足元に酔ってきた飼い犬の頭をなでる。
「ご飯なーちょっとまって・・・」
休校になるのが分かって、2度寝出来るとは思っても、なかなかそうはいかない。
暴風雨で外には出れないから今日は一日家の中に缶詰だろうけれど、それなりにする事はある。
まずは犬のご飯を与えるために、しかたなくソファから立ち上がった。

掃除やら洗濯やらで半日が過ぎたころには、台風は早々と峠を越えて、朝方の暴風雨がうその様な台風一過の青空が広がっていた。
「さすが台風。雨も雲も連れてったみたいやな」
台風の残りか時折吹く風が遊び散らす家の周りのごみを掃き掃除して、せっかくの休校もゆっくり出来たとは言えなかった。
ニュースを見る限りでは、各地にさまざまな爪痕を残したようだったが、とりあえず、うちは何ともなく、家の前に吹きだまった木の葉やらが散らばるぐらいで済んでいた。

「・・・っくしっ」
夕日も落ちかけたころ、空気の入れ替えの為に開けていた窓を閉めるために寄った窓辺でくしゃみが一つ出た。
カーテンを踊らせる風の温度に腕をさする。
「急に涼しくなったなー。あ、アキアカネ」
窓の外には紺のと茜色のグラデーションの空を背景に鮮やかな色のアキアカネが飛ぶ。
9月も半ばの厳しい残暑は、台風が台風一過と共に連れていったらしい。
今度の休みは晴れたら秋物を出さないといけない、急な秋の訪れにそんな事を思いつつ、乾いた風を少し楽しんでから窓を閉めた。


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